こんにちは、Pythonエンジニア育成推進協会 顧問理事の寺田です。私は試験の問題策定とコミュニティ連携を行う立場です。
Pythonエンジニア育成推進協会が提供しているPython3エンジニア認定実践試験はおかげさまで好評をいただいています。私自身、実際に受験された方から直接感想をいただくことがありますが、合格できたことをよかったと言っていただいています。
そうしていただく声の中に、ある一定レベルの勉強をしておかないと受からないだろうといった声がありました。そこで、何回かに分けて実践試験Tipsというような形で合格に向けてのちょっとした情報をお伝えしたいと考えました。
今回は、実践試験がどういった試験なのか、その主教材との向き合い方や試験に向けて押さえておくべきポイントについてお話したいと思います。
■Pythonを実務的に使っている人であればそう困難な試験ではない
Python3エンジニア認定実践試験は「Python実践レシピ」という書籍を主教材にしており、ある一定のレベルに到達していないと合格できないような出題内容になっています。
主教材自体は、すでに公式ドキュメントを読み込んでいろいろなことを調べていたり、実際に日ごろから厳密性をもってPythonを使ったコーディングができる実力を持っていたりする方にとっては、ある程度は理解しやすい内容になっているかと思います。
一方で、普段からPythonを書いていないような方や、あまり厳密性をもって取り組んでいないという方にとっては、それなりの学習を重ねなければ合格は難しいのではないかと考えています。
とはいえ、実践試験を含め当協会が提供している試験自体は、特にマニアックな問題を出すようなものではなく、Pythonに対し、どう使っていくものなのかをある程度理解していれば、そう高度な学習をしなくとも合格できると思います。ただ、実践をさほど積んでない人たちにとっては、やはり少々ハードルは高めではあるかと思います。
■Python3エンジニア認定実践試験 主教材との向き合い方
主教材自体は約500ページありますので、その中から試験範囲に入らない章や項目はもちろんありますので、書籍の内容をすべて理解する必要はありません。ですが、それでもある一定の網羅性を持って、その正確性を持って学習する必要はありますので、そこが試験勉強の大変さだと思います。
ただ、この学習を通して、いろんなライブラリを網羅的に使えるようになりますし、それぞれがもつ機能を知ることで、実務で起きた問題点の解決策や、したい処理を実現するには標準ライブラリで対処が可能なのか、それともサードパーティ製ライブラリを使うのか、それとも他の代替策があるのではないかといった発想にたどり着くことができるようになります。さらに、公式ドキュメントをじっくり読みこみ、実務で使用できるようになっておけば、より実現度が高まります。
Python3エンジニア認定実践試験においては、そういったところに行きつける人材になれるということ自体が試験の大きな存在意義になるだろうと考えています。
実際に実践試験合格された方からは、「コードレビューをするときに、適切なリンクを貼って適切にコードレビューできるようになった」という声や、「自信を持ってコードレビューができるようになり、動くかもしれないけど、こういうケースにおいて良くないからこっちに変えた方がいいといった考えを積極的に言えるようになった」、「自分が書くコードに自信を持って説明できるようになったし、適切なディスカッションができるようになった」というお話を聞いています。
このような自信を持てるようになれば、追加の学習をするにしても、何かを調べるにしても、自信を持っていろんなことに取り組めるようになると思います。
先ほども書いた通り、この教科書を見ると、「これを全部覚えて全部やるのか大変だな」と思うかもしれませんが、ぜひ一度一通り読んでもらいたいと思います。そして、ある一定のレベルまで到達できたと考えられるようになったのなら、ぜひ試験に挑戦していただければと思います。
試験に不合格になったからといって落ち込む必要はありませんし、時間がある方は再チャレンジしていただいてかまいません。
自分が苦手に思う分野は誰しも必ずあると思います。これだけの幅広い内容になれば、使ったことがないものもあれば、何を言っているのか分からないものもあると思います。そういったものを重点的に学習することで、自分がどの部分の知識がどの程度足りなかったかを見つめる材料に使用していただければと思います。そしてそれが合格への近道になるかと思いますので、是非とも頑張って挑戦していただければと思います。
繰り返しになりますが、自分の苦手な分野は絶対あり、使ったことが無いもの、意味が分からないもの。そういうものを重点的に学習してもらうと良いと思います。
■主教材「実践レシピ」、1章2章で押さえておいてほしいポイント
ここからは具体的に主教材の内容について1章と2章のポイントをちょっと話しておきたいと思います。
この2つの章に関してはPythonに普段から触れている方にとってはさほど困ることはない章になっているはずです。
▽Chapter1:Pythonの環境
まずPythonのインストール方法について説明されている章です。
この書籍に書かれている方法はPythonの標準的なインストール方法として、pip installでのインストールと、仮想環境venvを使う方法を説明しています。普段はこの方法とは違う方法でインストールされている方もいるかと思いますが、標準的な方法として、押さえておいてほしいものです。
▽Chapter2:コーディング規約
PEP8に関して説明されている章です。こちらもPythonのコーディングに慣れている方なら簡単に理解できるものになっていると思います。当協会ではPEP8の無料のオンライン試験を用意していますので、その試験も活用しつつ学んでいただければと思います。
flake8やBlackというリンターやフォーマッタの使い方、細かい文法を覚えるというものになりますが、Pythonはこういう形で書いていくんだなということを押さえてもらうのが重要です。
今回はここで終わります。
次回のTipsでは実際のコーディングで重要なポイントとなってくるPython言語仕様について説明されている3章についてお話したいと思います。
