PyCon JP 2025 in 広島 参加のススメ

こんにちは、Pythonエンジニア育成推進協会 顧問理事の寺田です。私は試験の問題策定とコミュニティ連携を行う立場です。私自身はPyCon JPの管理運営をしている、一般社団法人PyCon JP Associationの理事でもありますので、今回は両方の立場でお話したいと思います。なお、PyCon JP 2025の運営チームメンバーとしての発言でもあります。

■日本最大級のPythonイベント PyCon JP

PyCon JPは年1回、大体8~10月頃に開催されるPythonの日本最大級のイベントです。

PyCon JPは2011年から開始しており、14年目となる今年は9月26日(金)、27日(土)がメインイベント、28日(月)は開発スプリントを行います。

これまでは東京のみ、もしくは、オンラインでの開催でしたが、今年は初の広島(広島国際会議場)での開催となります。東京周辺にお住いの方にとっては遠距離にはなってしまいますが、それでもPyCon JPに実際に参加することで触れられるものや意義をお伝えしたいと思います。

なお、当協会は毎年、PyCon JPにスポンサーシップしています。今回のPyCon JP 2025広島開催においてもゴールドスポンサーとしてブースを設置し、プレゼント大会を行います。参加される方は、ぜひブースに立ち寄ってください。

■PyConとは何か

PyCon JPを語る上で、まずPyConがどういったものなのかをお話したいと思います。

PyConは、世界各国50か国以上で開催されており、一番大きいのはアメリカで開催されるPyCon USで、今年は5月にペンシルベニア州ピッツバーグで開催されました。アジアでは、台湾、韓国、フィリピン、マレーシア、タイランドなどで開催されていますし、他にもヨーロッパなど様々な国で開催されています。

PyCon JPは日本版のPyConということで、世界的に見ても規模が大きい方になっています。内容としても他国に負けないような内容になっており、各国と同様、もしくはそれ以上にいろいろなPythonやコミュニティに触れられる機会になっています。

海外からの参加者も多いため、国際的な場面に触れることもできますが、日本開催であるため、日本語を中心に開催していますので、外国語が苦手な方にとっては、国際的なPythonのイベントとしても、楽しみやすいものになっていると思います。

■PyCon JP 2025 広島開催について

先ほども書いた通り、今年は9月26日(金)、27日(土)がメインイベント、28日(月)は開発スプリントを行います。基本的にはメインの2日間参加されると十分楽しめるかと思います。

メインイベントでは、基調講演やトークセッション、ポスターセッション、出展ブースがあります。7月末の時点ではまだカンファレンスの情報が公開されていませんが、ほとんどは動画が後で公開されます。

ただ、基調講演などの話を聞きに行くというよりは、コミュニティに参加したり、友達を作ったりできる機会を得られる場として用意していますので、ぜひ周りの方とコミュニケーションをとって楽しんでもらえたらと思います。

チケットは以下から購入できます。

https://pyconjp.connpass.com/event/359523

25歳以下の人には価格の低いU25チケットが提供されていますし、一般とビジネスチケットがあります。もし参加が可能なら懇親会のチケットを買ってもらえるといいなと思います。

■PyCon JP 2025の楽しみ方

できることなら、26日のオープニングから参加してもらえると、トークを聞きつつ、ブース周りをしつつで、カンファレンスの雰囲気を掴みやすいと思います。私自身、他のイベントでもできるだけ、オープニングから参加するようにしています。

もちろん、東京からの方になると前泊が必要なので大変かもしれません。途中から入ることになる場合よりも、初めの方からいるとカンファレンスの雰囲気に入りやすくなりますので、おすすめです。

また、ランチタイムやコーヒーブレイクの時間がありますので、そういう時に、会場内で会った人や、近くにいる人を誘ってお話されるのもいいと思います。断られることもあるかもしれませんが、その時は気にせず、ちょっとやってみることで情報を吸収しやすくなると思います。

実際、周囲にいる人に話しかけているという人はたくさんいます。話始めが難しいと思うのなら、「差し支えない範囲で構わないので」とPythonの使い方や仕事について聞いてみるのもいいと思います。聞いたトークの感想を話し合うというのでもおすすめですし、理解できなかった部分を聞いてみるというのもいいと思います。

ところで、すべてのトークをすごく真剣に見るのはとても疲れるのでやめた方が良いと思います。1日中聞いてもすべてを理解できるわけでもありません。なので、キーワードだけをメモする、パスするなどで楽しんでみましょう。疲れたら休むくらいの心づもりで大丈夫です。

ちなみに、トークのスピーカーに分からなかったところなどを質問するととても喜ばれます。すべてを理解している必要はありません。是非話しかけてみてください。

ブースを覗いて話をしてみるのもおすすめですが、ポスターセッションもおすすめです。

担当者が居る時間もありますので、先に掲示だけ見て気になったところの担当者が居る時間に行ってみるのもいいと思います。ポスターを書いた人は質問されるのはとても嬉しいと思いますので、ぜひ行ってみてください。

コミュニティの募集ポスターも掲示されていますので、同じ地区や興味のある技術分野のポスターがあれば、近づいて話をしてみると、学習仲間に出会うことができます。ぜひ興味があるコミュニティに参加してみてください。

■イベントに現地に赴く事の意義

オンラインでの参加と比べ、現地で実際に参加することによって得られるものは大きな差があると思います。実際、私自身が各国のイベントに赴いたからこそ得られる知識が大きいと感じています。

もちろん、知識を得たいだけなら動画でも十分だと思いますが、どの部分で盛り上がったか、注目されている話題やモノは何かといった情報を得られるのはもちろん、隣に座っている人と少し話せることで、知ることができる情報にも差が出てきます。これは、その場を共有した人たちだけが得られるものだと思っていますし、カンファレンス主催者側に立った時にも感じていることです。

確かに、遠方から一人で行くのはなかなか大変かもしれませんので、ぜひ仲間を誘って参加して欲しいなと思います。

また、いろいろな方とお話をしていると、「まだそこまでPython使えていない」、「初心者だし、イベントに参加するほどではない」というのはよく耳にします。ただ、特に今年のPyCon JP 2025は初めて参加する人の楽しみを重視しようとしているところがありますので、初心者であっても楽しめるイベントになっていると感じています。

今年のKeynoteに、大塚あみさんというChatGPTを使って勉強したらそれなりに仕事ができるくらいのエンジニア力がついて人生が変わったという内容の本を書いている方が登壇されます。書籍自体もとても面白い内容になっており、AIを使って勉強していく中で、やはりAIだけではなく、自分自身の力も付けてエンジニア力をつけていったというお話はこれから学習する初心者にとってもとても有益な情報が得られるのではないかと思います。この方自身、学校の先生をはじめ、周囲にアドバイスをしてくれる人がおり、サポートしてもらっていたそうです。サポートによってモチベーションを保つことができ、そのアドバイスの中にはAIが教えてくれないキーワードなどもあり、そのキーワードをもとにAIを使ってさらに学習を深めていったのだそうです。

普段の生活では出会えない人たちとはイベントを通じて出会うことができます。この機会に、一緒に学ぶことができる仲間と出会うことができればと考えています。

是非広島周辺にお住まいの方は気軽に来て頂きたいと思いますが、今回の場合、恐らく遠方から来る方も多くなると思います。宿泊される方も多いと思いますので、今までのPyCon JPとはまた違った出会いを得る可能性があります。

中には夕食の食事会を開いているグループもありますし、パーティーも開催される予定です。そういった場所にぜひ参加してもらい、楽しい二日間を仲間と共に過ごしてもらえたら嬉しいです。

もし参加される場合に心掛けてほしいのは、たとえ一人での参加だったとしても、食事の合間に声を掛けたり、逆に声を掛けられたりしたら積極的に話してみるという事です。

誰しも初心者の時代を通ってきていますので、初心者であると引け目を感じず、楽しいところや分からないところを含めてお話してみてみると、得られるものは大きなものになると思います。

たとえ、会話が合わないと思うのであれば、その場を離れればいいだけです。

PyCon JPの参加者は昨年600人を超えており、今年は800人超を狙っています。これだけの規模になってくると、会場内ではたとえ会いたいと思っても同じ人に合うというのはなかなか難しくなります。なので、相手に迷惑をかけてしまうことはいけませんが、会話が合わなかったとしても、会話しても恥ずかしい思いをしたとしても、正直相手もあまり覚えてないと思いますので、チャレンジしてもらえればと思います。知り合い同士で来たとしても、ぜひ新しい人に話しかけてみましょう。

私自身も当日現地に行きますが、運営メンバーの中心にいるため、それなりに忙しいと思います。

カンファレンス中はあまり時間が取れず、勇気を出して話しかけてもらったとしても、タイミングによってはどこかに走り去ってしまうかもしれません。ですが、本音を言えば、会場に来てくれた方々とお話したいと思っています。

時間が許せば、コラムを読んでの感想だったり、誰かを紹介をしてみたりと会話したいと考えています。会えたらダメもとで是非話しかけてみてください。

■誰もが安心して参加できるPyCon JP に

色々と交流してみてくださいと言っても、正直、特に女性は不安に思う場面があると思います。

過去のカンファレンス参加者の傾向は、東京周辺に住んでいる男性エンジニアが多く、女性は大体10%程度です。また、海外からの参加者(英語話者、アジア中心にアメリカ、ヨーロッパなど)は50~100人以下という感じです。

この日本におけるジェンダーバランスはカンファレンスとしても課題と考えています。実際、アメリカでは30~40%超、韓国では女性の方が多いという比率です。

一方、日本においては男性参加者が多いカンファレンスになっているのが事実で、運営の中心もほぼ男性になっており、女性比率を高めたいと常日頃考えており、これを解消する方策をいくつか考えています。

最近は国際コミュニティ支部であるPyLadies Tokyo(支部は東京所在)が中心となっていろいろな活動を行っています。

例えば、PyLadiesとしてランチ用テーブルを作り、女性も安全に楽しめるような形にしたりといったことです。今年も支部から何名かが来る予定になっており、開催されると思います。

また、お母さん、お父さん問わず利用できる無料託児所を今年も設ける予定です。

今までカンファレンスに参加したくとも、お子さんの世話が必要なために諦めていた方々にぜひ利用して欲しいと思います。託児所はプロの保育士さんが常駐しており、0歳児からの預かりが可能です。詳細な利用のルールについてはお問い合わせください。一時利用でもかまいません。

PyCon JPは、行動規範を設け、男女差別や人種差別、容姿差別といったものは明確に禁止しています。トラブルは非常に少ないと思いますが、たとえトラブルがあったとしても安全に過ごせるような仕組みを整えています。

こういったことはPython Software Foundationも意識しており、各国のカンファレンスにきちんとした行動規範を制定することを求め、適切に運用していることを明言しています。PyCon JPもこれを守って開催してきています。

興味がある方は以下のURLから行動規範を読んでみてください。

https://2025.pycon.jp/ja/coc

■さいごに

繰り返しになりますが、カンファレンスはトークを聞いて知識を得るだけのものではなく、カンファレンス側としては、コミュニケーションを取り、共に学ぶ人が集える場所にしたいと思っていいます。一堂に集まることで何かが生まれることがあると信じていますし、正直一人で学び続けるのは難しい部分があります。いろんな楽しみ方をして欲しいと思います。

広島でお会いできるのを楽しみにしています。

今回、広島に来れないようでしたら、ぜひ来年、お会いできればと思います。

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