Pythonエンジニア育成事例「株式会社京葉情報システム 」金融系システム開発のプロ、京葉情報システムがPythonで競争力UPへ

<企業情報>
株式会社京葉情報システム
東京本社:東京都千代田区神田小川町2-3-13 M&Cビル7F
https://www.kiskk.com/

<インタビュー>
株式会社京葉情報システム
業務一部分散環境開発推進室  室長 藤原 秀久 様
デジタルビジネス推進プロジェクト担当 兼 業務一部基幹系グループ
課長代理  倉持 修 様
課長代理  五十嵐 岳志 様

■金融系システムの開発を得意とする京葉情報システム

株式会社京葉情報システムは、設立以来、大手損害保険会社の協力会社として、損害保険会社のシステムを中心に金融系システムの開発を行ってきた会社だ。同社は開発のみならず、企画・提案といったコンサルティングから、システム設計、運用・保守まで、ワンストップ・ソリューションを提供している。そうして培ってきた実績とノウハウから、顧客から多大な信頼を寄せられている。

■会社の競争力を高めるためにCOBOL中心からPython含めた多言語習得へ

倉持 修氏

これまで同社はCOBOLによる開発を行ってきたが、昨今の開発言語を取り巻く環境を見て、今後はCOBOLのみで行うのではなく、PythonやJAVA、PHPといった他の言語にも目を向けることにした。そのきっかけについて、デジタルビジネス推進プロジェクト担当 兼 業務一部基幹系グループ 課長代理 倉持 修氏は次の様に語っている。

「これまでCOBOLで開発を行ってきましたが、お取引先の中からCOBOLによる開発を取りやめていくという声が上がるようになってきました。そうなると、当社は立ち行かなくなってしまいますので、他にも目を向けていかなくてはいけない、新しいことをやっていきたいと考えるようになりました。そこで、Pythonが注目を浴びていることを知り、取り入れていくことにしました。」

業務一部分散環境開発推進室  室長 藤原 秀久氏は、金融系システム業界が取り扱う開発言語の傾向について次のように考察しているという。

「金融業界の中でも、まだ一部の企業ではCOBOLは利用されていますが、JAVAへの切り替えを検討している企業もあるようです。色々な言語がある中で、JAVAやCOBOLなどのメーカーが権利を保有している言語は、何かバグがあったらメーカーがすぐ対処する、責任を取ってくれるというものになっています。そういったサポート体制が整っていないフリーの言語を取り入れるのは金融系では難しいと考える部分があるのは事実です。」

五十嵐 岳志氏

その状況でPythonを取り入れた理由を、デジタルビジネス推進プロジェクト担当 兼 業務一部基幹系グループ 課長代理 五十嵐 岳志氏はこう教えてくれた。

「これまでのように一つの言語に絞るとまた同じようなことが起きてしまいます。そのため、どれかひとつに絞るのではなく、PythonやPHP、JAVAなど複数の言語を習得する予定です。これによって当社の競争力を高め、ゆくゆくは幅広い業務を受注していけるように図っていくということになります。」

■Pythonエンジニアの育成は、情報共有と実践方式

社員の8割が客先に常駐しているため、社員間での情報共有はグループウェアを利用して盛んに行われており、取得する予定の資格試験では、Pythonの取得が一番進んでいるという。Pythonへの印象について、五十嵐氏はこのように語っている。

「もともとCを大学時代に学んでいたので、Pythonはとっつきやすい言語で、まずとってみようかなと思いました。試験的にもそんなに難しくないかなという印象です。」

今後のPythonエンジニアの育成計画について倉持氏はこう教えてくれた。

「今後、エンジニア全員が取得を目指すというよりは、既存の案件のことも考え、ベテランはCOBOLを中心にし、それ以外のメンバーには取得して欲しいなと考えています。現状、いくつかの言語を習得する予定の中で、特にこの言語を積極的に受けろとは我々は言っていないのですが、一番取得が進んでいるのがPythonです。

育成面では、現在、PHPやJAVAで作られた社内システムをAWSへ移行する計画がありますが、これをPythonに変更し、開発を社員で行うという実践方式を考えています。」

■Pythonがスタンダードになると予想、市場への期待感大

現在はPythonの習得を目指している段階のため、ビジネス的な取り組みはまだ行えていないという。ただ、現在参加している千葉県による製造業のIoTによる業務効率化のプロジェクトでPythonが使われており、習得をしておいてよかったと感じる場面はあったようだ。

最後にそれぞれがPythonへの期待感を聞いたところ、次のように答えてくれた。

藤原 秀久氏

藤原氏「言語として、Pythonがスタンダードになっていく可能性は大きいのかなと考えています。市場の成長と併せて技術者の成長も伴って広がりを見せていくと同時に、今後はエンジニアの素養の一つとして、知っていて当たり前の開発言語になっていくのかなとも感じています。

採用に関していえば、当社では入社前に基本情報技術者試験を取得してもらっていますが、この試験からCOBOLが消え、Pythonが入りました。いままではPythonという選択肢がありませんでしたが、今後は学生の内に勉強するものの中にPythonが入ってくることになると思います。その流れで、当社でも内定者には事前にPythonを学習しておいてもらうという構図になる可能性はあります。」

倉持氏「当社としては、AIやディープラーニングをやっていきたいなと思っています。それに関われるPythonという言語については期待感しかないという感じです。」

五十嵐氏「当社はまず、Pythonの仕事を貰うところからやっていかなければと考えています。Pythonの仕事が増えたあとは、こちらが選べるほどになっていければいいなと思っています。」

(インタビューワー 当協会事務局菱沼佑香)

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